ちょっと昔に、ネットブックが流行したことがありました。
つっても10年よりもっと前の頃の話になるのでしょうか。
ちょっとじゃないね。

おっさんも流行に乗っかって、使い道もよく決めないままにネットブックを購入していました。
冬場にPC部屋に行くのがめんどくさくて、コタツPCとして数週間だけ活躍しました。

性格がヒネくれてるので、当時主流だったAtom搭載機ではなく、ちょっと変わったのを買ったんですよ。

ASUS EeePC 1215B
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はいこれ。

・AMD デゥアルコア* APU搭載機(E450 1.65GHz dual core)
・メモリDDR3 4GB(2GBはメイン基板実装。シングル)
・HDD 500GB
・DirectX11対応の Radeon™ HD 6320 グラフィックス搭載 
・なのに、色よくなくて暗いTNの1,366×768/12.1インチパネル搭載

(* 実際にASUSの商品ページの表記がそうなってる)

当時は値段の割に、それなりにいい方のスペックでしたが、実際は使い物にならないくらいAPUが遅く、数回使ってお蔵入りさせていたものです。Windows7 HOMEでしたので、単純にAPUがクソだったんだと思います。

プラスチック筐体で1.4kgしかなく、なかなか可搬性はいい奴でした。
ほとんど使っていなかったので、バッテリーは10年経ってるのに劣化による容量減10%未満。

オークションとかで売っぱらえばいいんでしょうが、筐体がマットブラックで指紋というか皮脂がベッタベタに目立つので、買ってすぐにカーボン調シートを全面に貼ってしまってるので、いまさら剥がすのもめんどくさくてタンスの肥やしとなっておりました。



なんでいまさらこんなものを使おうと思ったのか?

こいつを使おうと思ったのは、おっさんが良く見るYoutubeで、ジャンクPCや自作PC動画の中に、「軽量リナックス」と呼ばれる、主にDebian(デビアン)やUbuntu(ウブンツ)などをベースにした、派生ディストリビューションを低スペックPCに入れて、日本語環境を導入するという動画をみてのことです。
「そんな軽くなるわけないやろ~」と思ったので、実験のつもりでやってみました。

この記事は、そのときに試したディストリビューション各種の雑感をまとめたものです。
E450というAPUを積んでいるので、IntelのCPUと全く同じようには動かないだろうと予測していましたが、やはりいくつかのディストリビューションで、正常に動かないものがあったりします。

そもそもの大問題として、おっさんはLinuxを全く1ミリも理解してない素人なので、見る人がみれば変な所でひっかかって動かせてないなんてこともあると思います。


軽量リナックスに求めるもの

ハード環境は取って出しのプレーン状態。メモリもHDDもそのまま。
(SSD換装してみてもよかったかな?)

最低限、これだけは通って欲しいという要望。

・firefox、chromeが動くこと。
 なぜこの二つかというと、使い慣れているのと、DRMがちゃんと通るからです。
 あとアカウント連動で、ブクマからcookieまで同期できる点。
 Chromiumはダメ。なので、64bit版が最低条件になるのかな。

・モニター閉じてスリープしてくれること。
 以外と大事。(以前CloudReady入れた事あったけど、動作不良してた)

・NASにアクセスできること。
 SMB、Sambaが通れば普通にアクセスはできると思うけど。

TATEditorがインライン変換で使えること。
 

 大変お世話になってるTATEditor。当ブログでも快適に使う設定を掲載してます。
 (以外に記事よまれててビックリします)
 なんと、Linux用もご用意されているのであります。すばらしい。


IM(インプッドメソッド)はなんでもいいです。
できれば、カタカナ英語辞書が使えるとラクでいいなぁ。ぐらい。

インストールには、Rufus を使って microSD カードへインストーラーを作成しています。
SDやUSBメモリのFAT32フォーマットにも使え、フラッシュストレージ以外はマウントしないので、誤操作でHDDフォーマットしたりしなくていいですよ。なにより激速い!



●Zorin OS 15 Core

 

ZorinOS15-img

タケルさんというYouTuberさんがシリーズで掲載されてた動画で、最初にみたのがコレでした。
UIが洗練されてて、なおかつWindowsに似た感じがしました。
動作してる所を見てあまりの美しさに驚き、今回の実験に至るのでした。

・見た目★
・軽快性★☆☆☆
・操作性
・導 入
・安定感

正常に導入され、正常に動きました。
(導入記事ではないので、手順などは全て割愛します。ど素人なので、手順に関しては他の方のブログなどを参考にしています)

とてもシンプルで美しい。未来のOSみたいな見た目です。
いろいろ試した中で、一番操作性も見た目も良かったです。

一点、重い

動作要項はクリアしてる筈ですが、それでも重かった。なにかするとメモリスワップが発生し、HDDではまともに動かせませんでした。
それだけに惜しい。
もうちょいマトモなPCなら、確実にコレで落ち着いていたと思います。

ちなみに、Lite版もあるようですが、15ベースのリリースはまだ先で、32bit版=Lite ということのようなので、選考からはハズレました。

Ultimate版は39$で有料ですが、そこそこのスペックのPCをお使いで、本格的に使いたい人には安いと思います。
宗教的にWindowsがダメな方には、いい選択肢だと思います。



●Q4OS 3.8
q4os38

次に試したのがこれ。USB起動でトライアルした感じでは見た目も良く、かなり軽かった。
が、結論から言うといろいろダメでした。

・見た目★
・軽快性
・操作性
・導 入
・安定感

正常に導入できませんでした。

まずWIFIチップを認識しません。
インストール中にドライバ追加や、アップデートでどうにかなったような気もしますが、ここで若干萎えました。

日本語導入を素人なりに、他サイトを参考にして行ったのですが、TATEditorでインライン変換ができませんでした。

見た目や操作感はWindows XPあたりに似ていたので、とっつきやすい感じはしましたが、逆に言うと古くささを感じたのも事実。
で、実験後にすぐ、3.9が出たのでそちらをメインでいじり倒してしまいました。
もうちょい試してもよかったかな。



●Q4OS 3.9
 
q4os

3.8を試した直後ぐらいにリリースになりました。
日本語は最初から使えるようでした。

・見た目★
・軽快性
・操作性
・導 入
・安定度

正常に導入できましたが、正常に動作させられませんでした。

3.8同様、ものすごく軽快。
日本語表記はできてましたが、入力がダメでした。理由はよくわかりませんが、fcitx だとイカンちゅーことらしいです。(素人なんでよくわかりません。uimだといいらしい)

メニューまわりがダメでした。
アプリ出すのに芋掘り式のメニューなのですがカテゴリ分けがイミフで使いづらい。
プルダウンもトロいし、戻るのもパンくずクリックしないといけないめんどい仕様。3.8は割と良かったんだけどなぁ。
また、メニューやタスクバーにアプリを登録するのも最初よくわかりませんでした。

あとなんでか、NASにつながりません。samba入ってるんですが接続できない。
FTPではオッケーなんですがね。



●Peppermint 10

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ヤバイですこれ。最強に近かった。
見た目がダークテーマで、クソTNモニタでは見やすさ度アップです。
動作も軽快、UIもすばらしく使い易い。設定まわりもまとめられてて、かゆい所なんで一切ありませんでした。

・見た目★
・軽快性
・操作性
・導 入
・安定感

正常に導入でき、正常に動きましたが、一部の動作が不安定でした。

個人的にですが、見た目がストライクでした。導入から使い出しまで、一切ひっかかる所はありません。
ICEというWEBアプリケーションをデスクトップアプリのように使うナゾ技術で、ストレージやメモリの圧迫が少なく、OfficeなどはMicrosoftそのままなので、互換性も完璧。
おっさんは365に入っているので、ビジネス用途でもこれはイケるかと思いました。

が、2点問題が……。

1点。モニター閉じてスリープさせるモードが、ハイバネーションしか選べない。
おまけにそのハイバネーションも不安定で、3回に1回は復帰できずにクラッシュします。

2点。スリープ(という名のハイバネーション)復帰後、マウスポインタの速度とセンターホイールのスクロール数が最低になります。つまりマウスカーソルが遅くなり、いくらホイールまわしてもスクロールのろのろ。USB差し直しで治りますが……。

これらは機種固有の問題でしょう。マイナーチップセットなのが悪い(笑)

この2点に目をつぶってそのまま使うという手もあるにはあるんですがね。
いまだ未練が残ってます。



●LXLE 18.04.3

2

正直、これに決まるとは思わんかった。
でもこれが、不具合ゼロで動作もめっちゃ軽いんだもん。
見た目や操作感はちょっとアレだけど……。

・見た目★
・軽快性
・操作性
・導 入
・安定感

正常に導入でき、正常に動作しました。(一部インストールが不安定でした)

評価だけ見ると、かなり微妙ですね。
一番肝心なのが、実用に耐えうる軽さかという点ですが、その点ではQ4OSと並んでめちゃめちゃ軽快に動きました。

まず、トライアルモードでUSBから起動してからインストールすると、ブートローダーがインストールできませんといってエラー起こします。
回避としては、USBから起動したら、ダイレクトでインストールを選ぶ事です。

さらにインストール後日本語の導入に一手間かかります。
詳しい手順などは、他の詳しい方のブログなどを参照ください。
導入性は最悪です。

スリープや復帰も問題ありませんが、設定関連がまるでダメ。
スリープ時間や自動輝度下げる時間設定、バッテリと電源有環境の使い分けなどを設定する場所がみあたりません。そもそも設定あんのかいこれ。

UIもちぐはぐで、有り物をつなぎ合わせた感がバリバリです。
メニューバーとタスクバーを上下で分ける必要ないだろ。デザインした奴はアホか。
デフォルトから必ず変えたほうがいいです。

さらに言うと、Linux界隈で流行ってるこの芋掘り式のプルダウンメニューって、絶対に使いづらいと思うんですけどね。操作しづらいし、なにより古くさい。

ZorinやPeppermintからすると、見た目UI共、数段、さらに数段見劣りします。

ただ、本当に不具合が無い。そしてパフォーマンスが高い。
結果的にコレに落ち着いてます。かなり不本意ですが。



AMDはやっぱりダメ?

実はこの他にも、LxPup とantiX も試していたのですが、どちらも評価に至るほどの動作が見込めませんでした。
LxPup はそもそもインストーラが起動できません。(インストーラー起動しても無反応)
antiX はインストーラーやトライアル起動すると、モニタのバックライトが消えて操作不能。(謎すぎる)
試せもしなかったということで、諦めました。

やっぱインテルチップでないと、Linuxはなかなか厳しいんですかね。



総評。そしてLinuxに可能性を感じた

個人的なランクをつけるとしたら、Zorinが1位、Peppermintが別ベクトルで同1位。それ以外は3位以下の背比べ状態でしょうか。

今回は正常動作するって事でLXLEを使っていますが、別の機会があれば速攻乗り換えるでしょうね。

それにしても驚いたのが、ディストリビューションの豊富さと多様性。
それぞれ皆コンセプトがハッキリしていて、探す方も選びやすい。

Windowsとさほど変わらぬ操作感どころか、確実に使いやすいものも。
文字レンダリングがめちゃめちゃキレイで、MacOS以外にもこんなにキレイに表示されるOSあるんだなぁと驚かされました。

Adobeあたりが、Linux向けのアプリケーション出したら、世界はきっと変わるだろうなぁと思います。

それほどまでに素人が通常使用を目的とする上での、高い有用性を感じました。
ウェブ・ブラウザが進化していて、軽い作業ならブラウザでAPI動けば、大体なんとかなるっていう点も大きいかな。

Adobe CC Linux版、是非出してほしい。
MacOS版作れてるのだから、難しくない筈なんですがね。
利権的なものでしょうか。優れているものが選ばれるとは限らない世界ですね。

昔のイメージだと、自分でソースさがして、コンパイル云々っていう素人お断りの世界だったと思うのですが、今回いろんなディストリビューションを触って、ユーザビリティの高さを実感しました。
使う側の事をちゃんと考えてデザインされたものが確かに存在しました。

一部ではマイナーだなんだと言われていますが、Linuxは確実に進化し、きっと世界を変えるんじゃないかと思わせる「何か」を感じる事ができました。